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  • 執筆者の写真金子俊平

衆議院農林水産委員会詳報

3月10日(水)の衆議院農林水産委員会において質問に立ちました。


《衆議院インターネット審議中継》(質問の様子はこちら)


それぞれの質問と答弁の内容について説明をいたします。


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①高病原性鳥インフルエンザについて

 今年度は昨年11月に香川県で発生してから17県で51事例が確認された。岐阜県では今年1月に地元の美濃加茂市で発生し6万8000羽が殺処分されたが、現在は搬出制限および移動制限は解除されている。直近では2月25日に宮崎県で発生し現在も移動制限等の解除がされていない地域があると聞くが、更なる発生を防ぐために農林水産省としてどのような対策を講じていくのか?また、発生した農家の皆さまがたにどのような支援策を講じる予定があるか?



(新井政府参考人)


 5月の連休までは発生リスクが高いと考えており最大限の警戒が必要。予防するためには支援策も活用いただきながら、農場主自身が飼養衛生管理の徹底を図ることが基本。農場・人・物・車両の消毒等によりウイルス量を一定量以下まで減らせば感染を防ぐことができるので、関係者が一体となった徹底的な消毒を行うことも重要。


 昨年10月に家禽の飼養衛生管理基準を改正し施行したほか、各都道府県が行う飼養衛生管理に係る指導について高位平準化を図るため改正家伝法において、国が策定する指針に則して県が計画を策定しその計画によって県が指導を行う制度を4月1日から施行する。今シーズンはこの制度の施行前であり、発生状況に応じ都道府県に対して飼養衛生管理の指導のポイントを通知するとともに、全国一斉点検を行った。1ヶ月ごとに公表することで飼養衛生管理の徹底を図るほか、全国一斉の緊急消毒や分かりやすい情報伝達等に努めてきた。今後も高い緊張感を持って臨みたい。


 支援策については、家畜伝染予防法に基づき殺処分した鶏の所有者に対して原則評価額の全額を手当金として支払うことになっており、県によっては県庁や家畜保健衛生所に相談窓口を設置して手当金の申請支援を行っていると承知している。既に順次交付を決定している段階。発生県と緊密に連携しながら早期の支払いに対応していきたい。経営支援互助基金の互助金の交付や各種低利資金の活用も可能。経営再開に当たってはモニター鶏を導入し農場の清浄性を確認することになっており幾つかの農場ではモニター鶏の導入が始まっている。発生農家の1日も早い経営再開を支援したい。



 殺処分は自治体が主体となって対応するが、出来ない場合は自衛隊の協力を仰ぐことになっている。今年度は自治体が主力ではなく自衛隊が主力になって殺処分の対応をせざるを得なかったと聞くが、基本原則に立ち戻って、都道府県でしっかりと迅速に対応出来るようにするにはどのようなことを検討しているか?


(新井政府参考人)


 今年度は大規模農場での発生あるいは一定の地域において多発したということもあり、自衛隊に多大なご協力をいただき、半分以上のケースで自衛隊に災害派遣要請をした。本来殺処分の防疫措置は都道府県が実施するので、全県的な体制を確立しておくことが重要。昨年末には県内最大規模も想定し机上で防疫演習を実施することを通知し、必要な人員の算定、動員元、各種団体との協定についてチェックを行った。岐阜県においては、年始の発生にも関わらず6万8000羽の殺処分を自衛隊への災害派遣要請をせずに県庁全庁的な対応で迅速に防疫措置を完了していただいた。


 防疫措置で重要なことは鶏の焼却・埋却であるが、平時から県と市町村が連携を図ることで焼却施設を活用出来た事例や、周辺住民との良好な関係を構築することで用意していた埋却地に円滑に埋却作業が進んだ事例もあるため、準備作業が非常に重要。今回の教訓を踏まえ迅速な防疫措置を各県が徹底出来るよう必要な人員の確保や埋却地の確保について事前協定をするなどの措置を奨励していきたい。

②牛マルキンについて

 コロナ禍において牛マルキンの算定方法が県別→ブロック別→県別と二転三転したが、飛騨牛は価格が高いため交付対象外となった。生産者の皆さまが努力を重ねブランド化に成功し値段が上がったにも関わらずマルキンの対象外になってしまうということは生産者の不満に繋がると思うが今後どういう運用をする予定か?生産者の皆さまが頑張れるようなメッセージも込めてアドバイスをいただきたい。



(水田政府参考人)


 牛マルキンは肉用牛の肥育経営に不可欠なセーフティーネットだが従前から県によって交付金単価の格差が大きくなっていた。新型コロナの影響で枝肉価格が大きく下落したなか、10万円以上の交付金単価となる県もあれば発動がない県もあり関係者間の不公平感が高まり牛マルキン制度自体への信頼が失われかねない状況だったため、昨年5月に県別算定ではなく地域ブロック別の平均で算定する見直しをし、結果、全ての県で発動するなど肥育農家の資金繰りに大きな効果があった。しかしながら、その後、枝肉価格が回復する過程で岐阜県など一部の県では枝肉価格が極めて高い水準となり、同じブロックのほかの県においてはその県の事情によらずして交付金単価が極端に低くなってしまう事態となった。これを回避するため昨年8月支払い分から岐阜県も含む枝肉価格が極めて高い県についてはブロック別算定から除いて県独自の算定とする運用改善を行った。そうすると、販売価格が生産費を上回り赤字が生じないということで牛マルキンが発動していない事態となったが、これはまさに岐阜県の生産者の皆さまのブランド化の努力が実を結んで収益性の高い優れた経営が行われているといことである。


 牛マルキンはセーフティーネットであり、そもそもマルキンが発動しない儲かる経営を目指すのが望ましい姿であり、そうした意味で岐阜県の肉用牛経営は全国的な模範となるものとして敬意を表し今後ますますの発展に期待したい。



 生産者負担金の納付再開について現時点での見通しは?


(水田政府参考人)


 昨年4月以降、肥育農家の資金繰り支援という観点から生産者負担金の納付猶予(実質免除)を行っているが、枝肉価格が回復してきたため昨年12月に生産者負担金の納付再開について考え方を定め、一定の条件を満たせば生産者負担金の納付を再開することとしている。具体的には、今年1月以降、食肉中央卸売市場の和牛去勢の全規格平均の枝肉価格が3ヶ月連続でキロ2300円を超えた場合、準備期間として2ヶ月を経て納付を再開するというもので、現在の価格推移を見ると6月から納付再開となる状況のため、混乱が生じないよう周知を丁寧に行うなど準備を進めていく。


③豚熱について

 現時点でどのような対策をしているのか、また、発生源について分かったことはあるか?



(新井政府参考人)


 2018年9月に岐阜県で20数年ぶりに発生して以来全国に広がっているが、昨年10月からワクチン接種を始めており豚熱の発生は抑制されている。しかしワクチン接種農場においても豚熱の発生は確認されており、イノシシを介して農場に入る危険性は高い状況。ワクチンを接種しても油断せずに飼養衛生管理を守っていただきたい。イノシシ対策については、捕獲の強化や経口ワクチンの散布といった対策を引き続き着実に実施していく。

 日本に広がっているイノシシや飼育豚のウイルスはほぼみんな一緒という結論が出ておりその遺伝子について農研機構の遺伝子解析によると、かつて30年近く前に我が国で流行したウイルス株とは異なり中国で流行しているウイルス株と近縁であるということであり海外から侵入した可能性が高い。


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引き続き、私たちの地域の農林水産業発展のため、皆さまの声に耳を傾けて取り組んでまいります。


2021.3.24 衆議院議員 金子俊平


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