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  • 執筆者の写真金子俊平

衆議院災害対策特別委員会詳報

7月28日(火)の衆議院災害対策特別委員会において、私たちの地域の早期復興に向け、質問に立ちました。


《衆議院インターネット審議中継》(質問の様子はこちら)


《衆議院ホームページ》(会議録はこちら)


それぞれの質問と答弁の内容について説明をいたします。


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①JR高山本線および山間地の鉄道の安心・安全な運行確保について

 関係者の皆さまの迅速な対応により、JR高山本線は7月23日に全線開通となった。JR高山本線の不通は、通学・通勤だけでなく、観光・経済にも大きな影響を与える。山間地を走る鉄道の宿命として、山のすぐ横を道路と鉄道が、そしてその横に川が流れるという事例が全国各地にはあるが、山間地を走る鉄道の安心・安全な運行確保のため国はどういったことを考慮しているか?



(江口国土交通省大臣官房技術審議官)


 JR高山本線は、通勤・通学だけでなく、観光としても重要な路線。並走する国道41号線の復旧事業と連携し、JR高山本線の運転再開を最優先とした作業が進められ、23日に運転再開となった。近年、災害が激甚化するなか、各鉄道事業者は列車の安全を確保するため雨量による運転規制等を行っているが、国土交通省としては、鉄道施設を災害から守る取り組みとして、鉄道事業者が行う斜面からの土砂流入対策等に対する支援も行っており、引き続き鉄道の安全運行が確保されるよう努める。


②被災した道路の早期復旧、中部縦貫自動車道の事業推進、国道41号線の改良、迂回路としての各自治体管理道や林道の整備支援について

 飛騨地域の大動脈、国道41号線下呂市小坂町門坂地区では、500mにおよぶ道路の崩落が発生した。国道41号線の寸断はライフラインを断たれるに等しく、通勤・通学・輸送・観光・経済等、全ての面で大きな損失が発生している。


 国道41号線は、本州の直轄国道で唯一(並行する路線がなく)120mm雨量規制区間が残っている。各地で土砂災害が発生し、国道158号線、国道471号線の被災では奥飛騨温泉郷と上宝地域で約1,300名が、下呂市小坂町の5地区では約1,500名がそれぞれ孤立するなど、多くの地域で孤立箇所が発生した。国道158号線と国道471号線については、7月中に大型車が終日片側交互通行できるように調整をしていただいているが、現在、国交省で整備をしていただいている中部縦貫自動車道が開通していたとすれば、孤立する可能性は大幅に下がっていただろう。また、県管理道や林道の整備により、孤立の発生する可能性を低くすることが、今後ますます重要となってくる。中部縦貫自動車道の早期整備とあわせて、迂回路確保という観点から、関係機関と相談のうえ、国土交通省にはリーダーシップを発揮していただきたい。


 赤羽国土交通大臣にご視察いただいた際、国道41号線は8月31日をめどに復旧をしていただけるというご発言をいただいたが、屏風岩改良・門原防災に関してもしっかり進めるというご発言をいただいた。改めて、国道41号線の復旧時期や強靱化ついてどう考えているのか、また、中部縦貫自動車道の早期開通等について、その予定や考えは?



(池田国土交通省道路局長)


 国道41号線の復旧は24時間体制で進めているが、500mにわたる大きな崩壊のため8月31日を目標に片側交互通行の交通開放を目指している。今後、国道41号線に同様な被災が生じないよう、橋梁やトンネルなど局所的な改良を行う事業として屏風岩改良事業および門原防災事業を進めており今年度は工事の推進を図るなど早期の完成を目指したい。また、中部縦貫自動車道についても、高山ICから丹生川ICまでの約9.5kmについて工事を推進して早期の完成を目指す。残る区間についても引き続いて事業が進められるよう、現在、概略ルートの検討も行っている。地域の協力を得ながら、一日も早い復旧や道路整備に取り組んでいきたい。


③土砂災害発生箇所の早期復旧と砂防事業の推進について

 今回の災害で土砂崩れが多数発生した一方、記録的な雨量にもかかわらず、砂防堰堤や流路工の整備が進んでいた地域では、ぎりぎりで土砂を食い止めて被害を抑えた箇所もあった。事前防災として砂防事業の効果やその重要性を感じた。郡上市大和町奥田洞地区では、災害発生の直前に災害関連緊急砂防事業の実施を決めていただいたが、いまなお危険な状態が続いている。今後も豪雨災害のリスクがあるが、土砂災害発生箇所の早期復旧への全面支援をお約束していただきたい。



(五道国土交通省水管理・国土保全局長)


 郡上市で発生した土砂崩れでは、既存の砂防堰堤が土砂を捕捉したため下流の人家9戸に被害が及ぶことはなかったが、大量の土砂は今なお残っている。岐阜県では二次災害防止対策を検討しており、国土交通省としても、県からの求めに応じ土砂災害の専門家を派遣し技術的助言を行っている。このほかの土砂災害発生箇所も含め、まずは二次災害防止対策に万全を期すとともに、引き続き砂防堰堤の設置などの恒久対策の実施についても、県への技術的助言や財政的支援を行っていきたいと考えている。


④加茂郡白川町・下呂市で発生したバックウォーター現象による浸水被害防止のための河川整備について

 加茂郡白川町では、バックウォーター現象が繰り返し発生している。今回の災害では、民家など41軒で床上・床下浸水の被害があった。近年、気候変動により想定外の豪雨と言われるような災害が毎年のように発生しているが、私たちの地域では、今回の豪雨災害で1週間のうちに何度も起こるような状況となっている。それらへの対策と、災害に強い河川整備についてどう考えているか?



(五道国土交通省水管理・国土保全局長)


 バックウォーター現象への対策としては、本川の水位を下げるための河道採掘などの対策を進めていくとともに、支川においても、本川の堤防と同じ高さや幅の堤防整備を行うことや、堤防の強化、水門の整備等のハード対策を行うことが重要であると考えている。加茂郡白川町の被災箇所については、岐阜県が検証結果を踏まえて行う治水事業に対し、防災・安全交付金等により必要な支援を行いたい。


 治水対策にあたっては、本川・支川・上流・下流の流域全体を見回し、国・県・関係市町村が連携しつつ流域が一体となった対策が必要であり、全国の一級水系を対象に流域治水プロジェクトとして緊急的に実施すべき具体的な治水対策を取りまとめることとしている。飛騨川をふくむ木曽川水系全体においても、国が岐阜県・高山市・下呂市・白川町等の地元自治体と一体となって治水対策を実施していく。


⑤豪雨災害と新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響の出ている観光産業への風評被害対策について

 連日、国道41号線の被災箇所を報道していただいているが、下呂温泉にも被害があると思われている方が数多くいらっしゃるようだ。下呂温泉に被害はない。地域経済に更なる影響を与えないよう、政府には正確な情報発信をしていただきたい。政府で行っている取り組みがあれば教えていただきたい。



(村田観光庁観光地域振興部長)


 観光庁では、災害が発生した際、地域の意向を聞いたうえで、観光庁のホームページやSNS等で、影響を受けた地域の状況についての情報発信を行っている。下呂温泉においては宿泊施設等に大きな被害はないと伺っているが、宿泊予約のキャンセル等が出ていると承知している。旅行者の皆さまに下呂温泉を安心して訪れていただけるよう、下呂市の宿泊施設の営業状況や交通アクセス等について観光庁のホームページで情報発信を行っているが、引き続き、各観光地の正確な情報発信に取り組んでいく。


⑥官邸要望・赤羽国土交通大臣視察・武田防災担当大臣視察の際にも強く要望した、迅速な復興のための早期の激甚災害の指定について

 一昨年の西日本豪雨に続き、今回も甚大な被害を受けた岐阜県。今後、速やかな激甚災害の指定もふくめ、復興に関する武田大臣のご意見をお伺いしたい。



(武田防災担当大臣)


 下呂温泉の風評被害については私自身も視察したが、この災害による大きな被害は全くなかったということを確認した。今後とも下呂温泉で観光客の皆さまが楽しんでいただけるようお願い申しあげたい。


 被災地がもとの姿を取り戻すため、被災者がもとの生活を取り戻すため、政府そして自治体が総力を結集して臨んでいくという決意を新たにしている。今日までの災害の教訓というものも踏まえ、不断の見直しを行い、手続きや対応がスピーディーのなってきたことも評価している。激甚災害指定の見込みについても、公共土木施設や農地等の災害復旧事業の見込みをいち早く発することが出来た。


 また、安倍総理大臣による直接の指示のもと、生活・なりわい再建パッケージを公表する。スピーディーに、一日も早くもとの生活が取り戻せるよう総力を結集して臨んでいく。


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改めて、今回の令和2年7月豪雨によりお亡くなりになられた方のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された皆さまのお見舞いを申しあげます。発災直後から現地を視察させていただきましたが、関係者の皆さまや現場で作業に当たっていただいている皆さまのご尽力により、みるみる復旧していく様子を見ると感謝の念に堪えません。


安倍総理大臣への官邸要望、武田防災大臣・赤羽国交大臣・御法川国交副大臣・佐々木国交政務官による現地視察、そして今回の災害対策特別委員会での質問を通して、私たちの地域の実情を、段階を踏まえてしっかりと国政に訴えました。


まだまだ復旧・復興・復活のためにはやらなければならないことがたくさんあります。引き続き、国・県・市町村がしっかりと連携しながら取り組んでまいりますのでよろしくお願いいたします。


2020.8.17 衆議院議員 金子俊平

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